結婚することも育休をとることも夢にも思わなかったあの頃

大学時代に書いていたブログ記事をリマスター及び考察しながら載せていこうと思います。恥ずかしい思い出や今より稚拙な表現等ございますが、ご容赦ください。

陽気なギャングが地球を回す / 伊坂幸太郎 著

 

書評日:2006.9.12(火)

 

 

 

陽気なギャングが地球を回す

嘘を確実に見抜く「成瀬」、演説の達人「響野」、天才スリ「久遠」、正確な体内時計を持つ「雪子」の4人で形成される最強の銀行強盗グループの遭遇する事件のお話。

 

ある日の仕事(銀行強盗)の逃走中に、突然突っ込んできた車にお金ごと車を奪われてしまう。車を奪った奴等は巷で騒がれている現金輸送車ジャックであることが分かり…。

 

伊坂幸太郎の代表作。今年映画化され、Yahoo!ブログには公式ブログも開設されていました。映画化を熱望されたことがよくわかる物語。僕は映画を見て読んだのではなく、伊坂幸太郎氏の著書と言うことで手に取りました。

 

伊坂氏は「もの凄い映画好きである」と聞いたことがあるのですが、映画の原作小説を書くのではなく、あくまで映画のような小説をかくことを念頭に置いて作品を書かれている気がします。

 

これはそれがよく分かる本で、映画のような展開やエンターテイメント性を持ちつつ(場面が頭の中で流れていくような自然な描写がある)、小説でしか表せない「ゆるぎない面白さ」を持っている作品です。

 

小説でしか表せない面白さを映画化やドラマ化で再現しようとすると、非常にクサくなってしまうことがありますが、それは読者が自分の中に登場人物像や物語の雰囲気を作ってしまうことに起因しているような気がします。役者さんも自分なりの解釈でチャレンジしているわけで、それが読者の創造と違ってしまうことがあるのは仕方ないんでしょうけどね。

 

デビュー作から物語を読めば、これは伊坂幸太郎が書いたものだとわかります。伊坂氏の作品の書き方として、従来の物語というものを踏まえつつ、そこに規格を外れたものを取り入れていることがあげられます。

 

この作品では、区切り区切りの文頭にその場面で重要となるキーワードの意味を、伊坂氏なりのユーモアで脚色を加えて載せています。そこで従来の小説の形態(章題名のあとには物語が続く)を打ち破りつつも、物語自体は非常に考え練られた文章と言い回しで、非常に良くできた物語に仕上げています。

 

映画は映画で独自のノリをもち、物語も映画オリジナルのモノらしいので、アンソロジー的なものとして楽しめるようです。

 

伊坂幸太郎作品を初めて読むならコレをオススメします。物語に大きな驚きや意表を突かれたモノはないけれど(そもそも設定自体が驚きかもしれませんが)、とても面白い作品です。

 

考察

この小説は表紙があまり好きになれなくて(私だけかもしれませんが)、面白いと言われていても手を出すのが遅くなってしまった作品でした。以降、このシリーズは似た表紙が使われているので、判別はしやすいのですが、手に取りにくいというか、読むのが後回しになってしまうシリーズ作品です。面白いんですけどね。