書評日:2006.9.19(火)
漱石の孫
夏目漱石の孫、夏目房之介が、テレビ番組の企画で祖父の苦悩の出発点である、ロンドンへ旅立った時の体験を通じて、自身が考えたことを綴った書物。
買っておいて読んでなかった。房之介氏が書いたものであり、漱石氏と房之介氏を客観的に比較したものではない。
読む前に勘違いされてしまうと困るのでここで言っておくが、「漱石と孫」ではなくて「漱石の孫」なのである。
2代目議員や2代目タレントを親と比較する風潮がこの世にはあるが、偉い人の子孫であるということでその子孫達がそのまま志を受け継いだり、親そっくりになったりするとは限らない。
そうだと分かっているのにやはり、比較してしまう。
そんな目を房之介氏がどう受け取っていたか、どう振り払おうとしたか等が読みやすく書いてある。(これまで何度も書物に書いてきたらしい。)
房之介氏のことは新聞のエッセイを読ませていただいたぐらいで、ほとんどその人柄について知っていることはなかった。それゆえ、読みはじめてすぐ、たくさんの驚きが出てくる。
僕のように房之介氏が「漱石の孫」だということしかしらない人が読んでみて驚くための本。
ロンドン旅行記なのかと思っていたのだが、あっちこっちに話が飛ぶ。途中読みにくかったり、読み疲れてしまったりするのだが、全てを理解できなくとも、途中途中の驚きで十分満足できる。
一気に読み進めると言うよりも、ペンと紙を用意してじっくりとメモしながら読んでいくことをオススメします。気が向いたときに、ちょこっとずつ読み進めてみてください。
考察
全然覚えていないんです。「難しかったな」という印象しか無くて…。最近、やっと「地理」に興味が湧いてきたんですけど、社会人若手時代までは「地理」に全く興味が無くて、この物語に登場する倫敦ですら「ロンドン」と変換できずに、「どこかの地名」としか思っていなかったのではないかと自分を疑うほどです。
地名や建物名に関しては単語や言葉としか認識しておらず、実態とまったくリンクせずに覚えていたのです。よくそれで社会科の教員免許を取得できたな(そもそもするつもりになったな)と思うのですが、そういうものみたいです。
ここ数年で漸く「地理」への興味が湧いてきて、地名のバックグラウンドだったり、その土地にかんする歴史だったりをセットで覚えるようになりました。それはヨーロッパサッカーにハマったことや、食への興味が湧いてきたことが大きいのかもしれません。
息子には、私のような学習をしてほしくないなと思っているのですが、どうなることやら?
本編と全く関係のない考察でごめんなさい。これは背伸びした書評だったのです。