結婚することも育休をとることも夢にも思わなかったあの頃

大学時代に書いていたブログ記事をリマスター及び考察しながら載せていこうと思います。恥ずかしい思い出や今より稚拙な表現等ございますが、ご容赦ください。

ゲームの名は誘拐 / 東野圭吾 著

書評日:2006.7.31(月)

 

 

ゲームの名は誘拐

人生という名の「ゲーム」に勝ち続ける男、佐久間はあるきっかけから誘拐「ゲーム」に手を出すことになった。2003年に公開された映画「g@me」の原作。

 

主人公、佐久間の一人称で描かれる物語。しかし、佐久間が「共感を呼ばない登場人物」であるゆえに客観的な視点でも読むことができる特徴も持つ作品。

 

この小説に出てくる主要人物は、嫌われキャラであると思います。実力があり、弱者を見下す佐久間、ワガママ放題、性格悪すぎの葛城の娘、冷酷なまでに冷静さを保つ葛城。登場人物からして負け犬視点・ネガティブ路線を貫く最近の小説とは一線を画す物語。

 

劣等感を抱くいわゆる負け組主要人物が出てこないので、嫌気がささず、一種のエンターテイメントとして楽しめました。

 

人生に勝ち続けてきた『作られた嫌われキャラ』達が、様々な思惑を胸に心理戦を繰り広げる展開が面白いです。誰が勝っている、誰が劣っているというわけでもなく、実力がほとんど拮抗している者同士の戦いなので、最後までページをめくるスピードが変わらずサクサク読めました。

 

果たしてゲームの勝者は誰なのか?終わり方に読者それぞれの解釈ができるところもこの物語の魅力であろうと思います。

 

「考える小説」ではなく「流れて行くものを楽しむ小説」だと思うので、気分転換などに向いている物語だと思います。

 

考察

この頃、勝ち組・負け組なんて言葉が流行っていてその流行りを取り入れた作品なのかな?と読んだ時に思っていました。そして勝ち組同士で戦ったらどうなるのか?と。リアリティがあまりなかったので、エンタメとして楽しめました。

 

 

後々映像作品化(タイトルはg@me)されていることを知って観たのですが、全然記憶にないんです。藤木直人が出てたなというぐらいの印象しか無くて。葛城の娘役は仲間由紀恵だったんですね。