結婚することも育休をとることも夢にも思わなかったあの頃

大学時代に書いていたブログ記事をリマスター及び考察しながら載せていこうと思います。恥ずかしい思い出や今より稚拙な表現等ございますが、ご容赦ください。

天空の蜂 / 東野圭吾 著

 

書評日:2006.9.2(土)

 

 

天空の蜂

最新鋭の超大型特殊ヘリコプターが、何者かの手により強奪され、高速増殖原型炉「新陽」の真上でホバリングし始めた。政府に送りつけられた犯人の要求は、「日本国内全ての原子力発電所の停止」。果たして政府はどのような決断を下すのか?

 

人類が発明した「科学」の中でも危険なものとして認知される、「原発」にスポットを当てた作品。

 

普段はそれを意識せずに、恩恵を受けているのだが、何か問題があると悪しき面だけを取り上げられる典型の原発にスポットを当てることで、自分たちが、現実から目を背けているものから目を背けてはいけないというようなた東野氏のメッセージが込められた作品。

 

 とにかく、長い。長くて怠い。あらゆる登場人物を使わなくては全てを説明できないし、筋が通らないのは分かるが、どの登場人物かを省く必要もあったのではないかなぁと思われる。

 

犯人探しをする物語ではなく、リアルタイムで起こっている事件がどう解決するのか?という話なだけに、どのような解決の仕方をするのかが、犯人の脆さによって見えてきてしまうのが辛い。

 

伝えたいことを、全面に出す余り、物語としての面白さが損なわれている気がする。

 

専門知識(ヘリコプター・原発に関するもの)もひたすら羅列してあるだけなような気がして、興味が持てないともの凄く辛い。確かにリアリティは必要なのだけれども、説明の仕方が非常に単調で退屈に感じてきてしまった。

 

東野氏らしさはあるのだけれども情熱が空回りしている感がある作品。それでも最期まで読むことができたのは、東野氏のテンポがある作品だったからだけど。

 

考察

2015年に映画化されたみたいですね。東日本大震災の影響で『原発』問題を俎上にあげて話題にしたかったのかもしれません。

 

 

読んだ当時はあんなことが起こるとは思っていませんでしたし、フィクションをフィクションとして処理していましたが、今読むとまた違う『読み方』になるのかもしれませんよね。