書評日:2006.7.25(火)
放課後
私立の女子高の数学教師である前島は、2学期から何度か命を狙われていると思える出来事に遭遇する。偶然が重なった可能性もあるため校長に口止めされていたため、警察には連絡しなかったのだが、ある日同僚の教師が亡くなる事件が発生して…。
デビュー作だと知らずに読んだ作品。今まで読んだ東野作品と作り方が違うと感じていたが、読み終えてデビュー作だったと知り驚いた。
隙間無く、びっしり詰め込んである物語。これまで読んだ東野作品は物語が決定的な場面を迎えたと思ったら、まだページがかなり残っていて、その後に何が起こるのかワクワクさせられるのだが、本作は最後の最後まで明かされなかった。犯人は途中から目星がつくのだけれども、予想もつかない動機とラストが待ち受けていた。
1988年に書かれたということで、女子高生のイメージは『懐かしアイドル』にして頭の中でストーリーを展開させました。今だとちょっと違和感ある感じの女子高生が描かれていたもので…。
東野氏の描く男性はデビューからあまり変わっていないみたいですね。ベースが一緒でオプションを加えていく感じ。だから、東野作品を一度読むと他の作品も読みやすく、のめり込みます。他の作家にも言えることですけど。
書評を見ていると犯行の動機に賛否両論あるみたいなのですが、今の世に起こる事件を見ていると、十分あり得る動機ではないかと思われます。
ラストは昔のドラマみたいな感じです。ただ、このラストは物語全体のバランスを崩した感じがするのですが。
その後の展開が見たくなる作品です。
考察
なんだかすごい動機でしたよね、確か。『ええっ!そんなことで?』とも思ってしまったのですが、それは思春期ならではの機微を忘れてしまったからなのかもしれません。
人物も展開も若干古臭く感じたので、もう読むことは無いと思うのですが、そういったことを『覚えている』という意味ではなかなかインパクトのある作品なのかもしれません。