書評日:2006.9.17(日)
トワイライト
小学校の卒業記念のタイムカプセルを開けるために集まった、39歳になる同級生達。タイムカプセルを開けると、男女関係のもつれから事件に巻き込まれた当時の担任の先生からのメッセージが。同級生たちそれぞれが、あの頃の夢や想像と違う世界を生き、思い悩む様を描いた作品。
あなたたちは今、幸せですか?
先生によって投げかけられた言葉から物語が動き出す。
大阪万博の太陽の塔が表紙に書かれ、登場人物達の年齢が39歳であることから浦沢直樹の20世紀少年が思い浮かぶのだが、それを期待していくと見事に裏切られる小説。あれはあれ、これはこれ。
登場人物のほとんどがシナリオ的に悪い人生を歩んでしまっており、思い描いていた未来とはさっぱり様相の違う世界を生きている。そして先の未来をもうみることができない。
それはそれは重い重い場所から物語がスタートする。重松氏の作品と言うことで、あくまで現実に沿った展開になるだろうなぁと思っていたのだが、前半に全員の現在の状況が出されたときには正直、読むのが辛くなった。
しかし、あっという間にページは進む。辛いテーマから目を背けさせないように上手く書かれているのだろう。
小学校時代に、のび太、ジャイアンというドラえもんに出てくる登場人物のあだ名を持つ登場人物を中心に物語は展開する。大人になっても結局その時につけられたあだ名に縛られているジャイアン、徹夫。のび太からの脱却をはかったものの、現在はリストラの候補にあげられている克也。
小学生時は自分の見える世界がすべてだった。頼りになるやつは大人になったら大きいことを成し遂げるやつだと思っていた。勉強のできるやつは大人になったら科学者や研究者になっていると思っていた。運動ができるやつは大人になったらその道のプロになってると思っていた。
それが大人になったらこんなにつまらない人間になってしまった。
過去の希望と現在の落ちぶれのコントラストが痛烈に描写される。自分は自分であるはずなのに、過去の自分と今の自分を別人にしてしまう。つまらない人間になってしまったことを悔い、更につまらない人間になっていく。
「悔いても悔いても未来はもう見えない。39歳はそんな年齢なんだ。」そんなメッセージが込められた作品だと思う。だからあえて悪いシナリオを歩んだ登場人物をメインにし、物語を書いていったのだろう。
僕は小学校卒業と同時に引っ越したので、小学校の同級生とは疎遠なのです。
小学生の同級生の顔と名前がよく、浮かんでこないなぁ。。
考察
読んだことは覚えているのですが、中身についてはきれいさっぱり忘れてしまいました。そして自分の書評を読んでみて、読み直したくもないなと思ってしまいました。
39歳まであと5年とちょっと。その頃になったら読めるかなぁ…。