2009.2.22(日) 社会人2年目
先日は先輩の送別会であつた。幹事は我が後輩。初の幹事デビューと成る。
先輩の送別会
小心者の割には頑張ったほうであろうが、私に言わせてみればまだまだ甘い。失格の烙印を押してもよいものであるなれ。
貴君には失うものなどなにも無いのであるからして、何を恥らう必要があるのだ。仕切りの妙技と、恥を楽しんでこそ幹事の楽しみがあるのではないか。
と背中を押してやりたかったのだが、そこで私がサポートしてあげては、彼の一本立ちにはなるまいと思うて、敢えて放置プレイに徹することにした。
二次会
しかし、二次会にて食べ物を適当に頼んでといわれ、適当にオーダーできない我が後輩は、私に助け舟を求めた。
「貴君は適当に頼むことすらままならないのか」と長時間に及ぶ説教に挑もうとしたが、店員の手前、素早く注文をせざるをえないことに気づき、あえなく断念した。
さて、とメニューを手に取った私は、「このメニューで何故選べない!?」と後輩を罵る気持ちを抑え、無難なオーダーを心がけた。が、はやる悪戯心をかきたてるメニューがそこにはあった。
その名も、『ロシアン寿司』。8貫中1貫に大量の山葵が入っているという説明書きが添えられている。
オーダー
コンマ3秒ほど迷った挙句、私は店員に2皿(1皿8貫)ほどお願いし、このロシアン寿司を2つ注文した。
そして、2つの要望を言い添えることを私は忘れなかった。1つは持ってくるときに普通の寿司だと告げること、もう1つは私にどれが当たりかをさりげなく教えること。
私と店員の会話など、他の誰も聞いていやしなかったので、私のテンションはあがるばかりであった。
地獄を見るのは一体誰であるかなと一人心躍る、11時。
店員は私の注文どおり事を運んでくれた。しかし、予想外だったのは、店員が私にさりげなく告げた「あたり」は送別会の主役の先輩の大好物の鮪だったのである。
ロシアン開始
ロシアン寿司が到着して即、躊躇いも無く大好物の鮪を口に入れた先輩の表情は見る見るうちに曇っていった。
その苦悶の表情は、これまでに見た先輩の表情の中で、最も感情を表出させたものであった。
トニー!!これは一体何であるか!?
隣に座る私に悲痛の叫びを浴びせかけた先輩に対し、私は冷静に切り返す。これは私ではなく彼(後輩)が注文したものでございますと。
責任転嫁された後輩は顔面蒼白であつたが、こんなことをするのは私しかいないので、あえなくお咎めを食らう羽目になつた。(無論、先輩は本気では怒っていないのであるからよいのである。)
油断大敵
はてさて、8貫中1貫に「あたり」があると先輩に説明したゆえ、それではこちらの皿にはもう「あたり」はないので、安心して食べられるのであるなと満足して2個目の鮪を口にした先輩は、またも悶えることになるのであつた。流石、主役である。
8貫中1貫なのである。1皿に1貫ではないのである。
この店、やるな。と私はお店のプロ悪戯根性に、心からの賛辞を送った。
考察
今だったら『つまらないな』と思ってしまってやらない悪戯です。場数が少ないが故の若さを感じるエピソードですね。先輩も私も後輩も若かった。だから楽しめた。
それが悪いとかそういうことを言いたいわけではなく、それはそれで楽しかったからいい思い出の一つだよなと。こういったくだらないことでも記録していて、こうしてまた楽しめるのも素敵なことだよなと。なんだかそういったことを思ったのです。