2006.1.16(月) 大学3年生
或る朝
「お菓子の失敗作を作り過ぎちゃったの(>_<)捨てるの勿体ないから食べに来て!」
朝、目覚めるとこんなメールが入っていた。従姉妹からのメールだった。恋人からだったら「ドジなやつめ、かわいいところもあるものね」と微笑ましい気持ちになるのかもしれないが、相手が従姉妹だと嫌なことこの上ない。
何で俺が失敗作を食べなくちゃ行けないんだ!しかも作りすぎたって…
イライラしながらメールのやりとりをする。どうやら、恋人のためにお菓子をつくろうとして失敗したらしい。そういえば、奴が調理をするのなんて見たことも聞いたこともないもんな。お菓子を作るのも数えるほどしかないのであろう。
作りすぎた理由を問うと、「作り方の分量が7人分なんだもの。割り切れない…。(中略)初心者だから応用がきかないのよ!」
と返ってきた。彼女らしい言い訳だと少し吹き出してしまった。が、しかしここで嫌な予感が頭を過る。7人分…。まさかそれを全部俺に食えと言うのか…。
用事があるとごまかしても届けにくるだろう。「これ、トニー君に食べさせてください」と。
遅かれ早かれ、食べなくてはいけないのだろう…。
分かったよ…。行くよ…。そのかわり、その後美味しいもの食べさせろよ。とメールを返し、着替えを済ませて僕は従姉妹の家に向かうのであった。
それにしてもあっけにとられて思い浮かばなかったのだが、分量を7で割らなくても2や4で割ることが頭に浮かばなかったのであろうか…。そうすればその材料であと数回トライすることができたんじゃないだろうか…。
と、時機を外した言葉が浮かんだ。
この物語は9割フィクションです。1割の真実を見つけてください。
考察
一割の真実は、「7人分作った」というところでしょうか。覚えている限りだと。甘酸っぱいような切ないような、そんな思い出が湧き上がってきました。
妻も最初はそうだったのですが、レシピをその通りに作る人って結構多いみたいです。それで作りすぎて失敗して、料理が嫌になると。想像すればわかる気がする…と言ってしまうとモラハラになるのでしょうか…?