レビュー日:2008.7.30(水)
リストラされ、実家に帰った大橋健三は、高校時代、よくつるんでいたカワボンから、高校時代に好きだった山口美甘子の死を知る。健三のもとには生前の美甘子から意味深な手紙も届いており…。
大槻ケンヂ原作小説を映画化。
グミ・チョコレート・パイン
小説では途中から暴走しだし、結末も消化不良で吐き気をもよおしてしまった。読んでから数ヶ月経ってこの映画を見て、この吐き気の原因は直視したくない青春の汚点だったと思うようになった。
映像化にあたって、物語を未来から省みる形となり、無駄が省かれ、すっきりとしたストーリーになった。
本筋は変わらず、付け加えられた"未来"が全く違和感なく、本筋である"過去"とうまく融合していたのが良かったと思う。
青春=サクセスストーリーではない。勿論、成功する者もいる。
だが、大半の人は、心に渦巻く、尽きることのない悩みと闘いながら、時に呑まれながら、見つかるはずのない答えを探して、見つけた気になって、また打ちのめされて…。そんな青春を過ごしたはずなのである。
そんな青春の渦巻きのカオスっぷりが、この作品ではうまく表現されていると思う。
青春の影
大槻氏が原作で表現したかったのは、青春の光と影の影なのだ。
しかし、青春の影を描くつもりなのに、登場人物をハッピーにさせようとするあまり、無理が生じて、原作での暴走に繋がったのではないかと勝手な推察をするのだが。
だが、小説で大槻氏の伝えたかったことはしっかりと伝わっていたのだとは思う。あの、吐き気の感じ。それは直視できない青春の影に他ならない。
本作品はサクセス青春ストーリーを期待すると、肩すかしを喰らう作品だろう。しかし、これがまさに「青春映画」なのだと、言われるに足りる映画だと思う。
いい映画だった。しかし、もう一度見たいかと問われれば、また吐き気とむなしさがやってくるのでもう、見たくないのだが(笑)
考察
原作小説は読みたかった想像上の展開と、実際の展開のギャップが凄すぎて泣きたくなりました。後から考えてみればそのぐらいの熱量を持った稀有な作品だと評価できるわけですが、当時の私にとっては受け入れがたいストーリーの物語でした。
恋が成就してハッピーエンドというラブコメの王道的展開になりそうだったのに、最後はどうしてこうなった!?思えば遠くに来たものだ…という感想を抱かずにはいられない、私にとって本当にトラウマになった物語でした。