レビュー日:2006.2.26(日)
本日、無性に聴きたくなった一枚。
Market
ザ・カスタネッツというバンドは、決して楽曲的、技術的に秀でているわけでもないのだが、Vo牧野元氏の声に魅了された。それほどうまいと言えない歌ではあるが、彼の声のなかにある「暖かさ」が技術を越えて胸に響いてくるのだ。
このカスタネッツの3枚目のミニアルバム「Market」は、牧野氏の声の魅力が存分に生かせるアコースティック、フォーク系の要素を取り入れ個々の楽曲が、これまで及びこれ以降のどのアルバムよりも磨かれている。
「ムーンパレス」では、絶妙なコード進行と「新しい季節に巡りあう寂しさ・高揚感」を見事に表現する歌詞が絡まり、カスタ史上最高傑作の1曲目と言えるほどの存在感がある。
「青と白の日々」では、これまでになかったドラマティックな展開に叙情的な歌詞を盛り込み、聴き手の感情を刺激する。
7曲しか入っていないミニアルバムではあるが、個々の楽曲それぞれの完成度が高く、捨て曲が無い。何度リピートしても飽きがこない。
今は廃盤になっており、入手困難な作品ですが、気になった方は是非、聴いてみてください。
考察
カスタネッツはメジャーレーベルを離れ、インディーズで活動するようになってからもCDを買い、いつもipodに入れてるぐらい好きでした。おそらく最新アルバムであろうKompusまですべてのアルバムを持っていました。
カスタネッツというバンドは、ミニアルバムばかりリリースする不思議なバンドです。そしてそのミニアルバムのどれも素晴らしい作品なのです(対してフルアルバムは…悪くはないんですけど、だれるというか)。熱量を封じ込める尺的にちょうどいいのかもしれませんね。
本作Marketはこの頃一番好きだったアルバムです。今はそんなでもないんだけど、昔はメロディアスな曲が好きだったんでしょうね。アコースティックで牧歌的な曲が多く、そういった楽曲が好きな人は気に入るのではないでしょうか。
アコースティックで牧歌的というと、「ゆず」が浮かんできましたが、私はなんで彼らが売れるのかがよく分からないんです。「演歌」的なのがいいんでしょうか。高校時代からの謎です。他のアーティストをディスっても仕方がないのでここまでにしますが…。
昨年、ボーカルの牧野さんが舌がんを発症してしまったようですが、活動を続けているみたいですね。よかったよかった。