結婚することも育休をとることも夢にも思わなかったあの頃

大学時代に書いていたブログ記事をリマスター及び考察しながら載せていこうと思います。恥ずかしい思い出や今より稚拙な表現等ございますが、ご容赦ください。

Through / the castanets

 レビュー日:2007.2.12(月)

 

Through

 

インディーズから出したミニアルバム。初のセルフプロデュース作品。限定先行シングル「Through」を含む全6曲。名曲揃い。

 

なんだかんだいってやっぱりカスタネッツが好きらしい。先日、2度目の購入を果たした。前に買ったのは確か貸したまんまだ。

 

カスタネッツはミニアルバムがちょうどいいみたい。フルアルバムだった「Khaki」は悪くはないんだけど、ミニアルバム3作と比べるとちょっと中だるみがある。ミニアルバムの方はミニアルバムの方で曲数的に少し物足りない感じがしてしまうのだけど…。なんてワガママなリスナーだ。

 

このアルバムはドラムの人が脱退して、いろいろあってインディーズから出されたアルバムなのだけど、演奏とアレンジが円熟味を増して、それでもカスタネッツらしいメロディーとサウンドは健在で、もの凄く新鮮なアルバムに仕上がっている。

 

久しぶりに聴いたけど、前に聴いていたときよりも「さらにいいな」と思えるのは不思議。今は何に対してもそうなのかもしれないけど。

 

曲の感想

それでは1曲1曲の感想を。

 

Through

アルバム表題曲。8分にも及ぶミディアムテンポのナンバー。4コードを繰り返して展開する。4コードで8分といったら飽きてしまいそうなんだけど、徐々に徐々に変化していくから、飽きが来ずに8分が過ぎ去る。まさにスルー。ボーカルの牧野さんの声が歌詞とともに優しく染み渡る。

 

最後の大サビの部分が感動的です。ここは歌詞も重視。

 

 余談ですが、セッションをすると、高確率でやる曲です。

 

ニア

新境地というか、これまでここまでフワフワっとした曲はなかったかな。ものすごくカスタネッツ色が似合う曲。

 

一番最新のシングル「サンシャイン」は視聴でしか聴いたことがないのだけど、サウンド面ではそれに繋がってる気がする。展開も広くてそれでいて曲のイメージを崩さなくて素敵。

 

意外にも割れるほどのノイジーなギターがサビで鳴ってます。もう一本のメロディを扱うギターの音色はすごくいい。

 

似たもの同士

カスタネッツの持つ「もう一つの側面」を前面に押し出した曲。過去作品で言えば「ステレオ」とか「おしまいの日に」とか、あんな感じの雰囲気を持った曲。こっち系の曲は実はあまり好きじゃない。聴ける範囲で好きじゃない寄りかなぁ。

 

演奏技術がホント上達したなと思いますね。もとから楽器の使い方と、さりげない音の使い方は上手かったんだけど、それに演奏技術が加わってきたなぁと。なんだか偉そうに言ってしまいますけど、前は酷いのもありましたから…。

 

猫を待つ

サードミニアルバム「マーケット」あたりの曲に、エレクトリックなエッセンスを加えて仕上げた感じの曲。

 

優しさと柔らかさがすごくいい。素敵な童話を読み終えたあとのフワフワと浮き上がりそうな心地がする。

 

こんな良質な曲を4曲目に持ってくるのもさすが!

 

月と幻

これはフルアルバム「khaki」に入ってる「遠い光」に、「青と白の日々」のようなドラマティックなエッセンスを加えた感じの曲。

 

転調は正直いるのか?と思うけど。なかなか頑張ってる曲だと思います。こういう曲、昔じゃできなかったんだろうなぁ。漸く作れたドラマティック。

 

シリウス

「月と幻」で終わっても良かったんだろうけど、ファーストミニアルバムの「リビング」の「フィクション」やサードミニアルバムの「マーケット」の「オーバーオール」ように最後はやっぱりこうしてみたくなるのでしょうか?

 

これもカスタネッツの持つポップ路線じゃなく、もう一つの路線の方に寄ってる。最初の展開はポップ系路線なんだけど、サビがドラマティック+もう一つの側面。悪くはない。けど、あまり好きじゃない路線。でもアルバムで並べると非常に重要な曲。

 

総評

1曲目、2曲目、4曲目をそのまま並べちゃうと、すごくつまらなくなっちゃうと思うんだけど、3曲目、5曲目、6曲目があるおかげでいろんな面も見れるし、それぞれの曲の個性が引き立っている感じ。

 

シリウスからThoroughにつなげるとしっくり来るし、リピートを前提で作られた印象を受けます。もちろんThroughから始まっても凄くイイアルバムです。「回り出したらエンドレス」感があるな。どこから始めてもいいのかも。

 

気になったら買ってみてください。定価2000円しませんし、良質な曲揃いですぜ。ちなみに、まだ彼らは活動しております。

 

考察

カスタネッツで一番好きな曲を問われたら、即答で「Through」です。曲の素晴らしさといろんな思い出が詰まった曲だから。

 

確か、コードはE,F#m,A,Bの繰り返しだったはず。この繰り返しを延々と続けると、カタルシスに似た快感があるよね。

 

最高のアルバムというわけではないけれど、時折聴きたくなる魅力があるアルバム。