結婚することも育休をとることも夢にも思わなかったあの頃

大学時代に書いていたブログ記事をリマスター及び考察しながら載せていこうと思います。恥ずかしい思い出や今より稚拙な表現等ございますが、ご容赦ください。

真昼のストレンジランド / GRAPEVINE

 

レビュー日:2011.1.22(土)

 

 

真昼のストレンジランド

前作「TWANGS」の出来が凄く良かったので、「そうそう毎回いい作品ができないよな」なんて考えていたら、「真昼のストレンジランド」が想像以上の作品だったので、興奮してしまった。

 

万人に受けるか?と、問われたら絶対「受けない!」と答える。演歌調のフレーズをやたらと繰り返す邦楽王道メロディや、サビで盛り上がり曲調に仕上げる万人受け仕様とは一線を画しているからである。 そして極めつけは、「分かり易くない」。 最初に聞いた時、曲調の難しさに驚いた。作りこんだと聞いていたが、まさかこういうことだったなんて…と。リフレインが少ない。極力同じフレーズを使わないようにしているようである。なのに、メロディとリズムともに難しい。これで万人に受けるわけがない。

 

しかし、最初に言ったように本作はティーンエイジャーの時の感動を忘れてしまった私が、我を忘れて興奮するほどの作品なのである。分かり易くない、難しいと言ったのだが、一曲一曲が長くないので、曲全体としてちぐはぐな感じがせず、整っている。清々しいほど潔い難解さである。

 

さらには、一粒一粒の音に聞き惚れてしまう。音の多様さ、自由さはこれまでのアルバムの中で一番高いのではないか?まるで音の粒子がストレスを感じず飛び回っているような印象を受ける。「こうあるべきだ」というフレーズがまったくなく、変幻自在に曲の中で遊び回らせているのだ。 ライブではどのようなフレーズを聴かせてくれるのか。アルバムツアーが楽しみで仕方ない。

 

この興奮が抑えられなくて、ブログを書いてしまうぐらい素敵なアルバムだった。最近、興奮するようなアルバムに出会えていない方に、挑戦していただきたいアルバムだ。

 

ヒット作に恵まれない

その昔、自分の好きなバンドは他の人に好きになってほしくないという捻くれ根性の持ち主だったのだが、最近は売れてほしいと思っている。 ライブチケットがプレミアチケットになって、ネットオークションで裁かれるようになるくらいの入手困難になったとしても、売れてほしいと思っている。 社会人になって、自分でお金を稼ぐようになったからかもしれない。お金を稼ぐプロセスの大変さを学んだからかもしれない。

 

これまで2度ほど、GRAPEVINEが売れるのでは!?と思ったことがある。「From a smalltown」と「TWANGS」のリリース時である。

 

From a smalltown

 

「From a smalltown」は圧倒的なサビでの迫力を有するライブでの定番曲「FLY」と、バイン定番バラード「指先」のシングル2枚が収められたアルバムで、アルバム曲もそれまでにない色鮮やかさを持ち、演奏の円熟も相まって非常に完成度の高いアルバムだった。

 

個人的な思い出としては、一人暮らしを始めた家で、引っ越しの荷物整理時に繰り返し聴いていた。学生と社会人の狭間で触れた、とても思い入れのある作品なのである。

 

このアルバムでは「juxtaposed」が好きだ。あのコーラスは痺れる。アルバムラストのこの曲を聴いて「これは凄いことになるかもしれない」と思ったのだが、セールスはいつも通りだった。

 

J-POPを嗜む方に受けそうな「FLY」でも駄目なのか!?何が足らなかったのだろう?と、頭を抱えたものである。

 

TWANGS

 

「TWANGS」は万人受けしなさそうなシングル曲の「疾走」が収録されていた。アルバムも「疾走」のように万人受けしないテイストの曲が多いのかも…と思った私の予想を裏切る快作だった。渋い渋いという評が飛び交っていたが、私には瑞々しさに溢れたアルバムだと感じられた。

 

「Afterwards」「Darlin’ from hell」に存在する軽快なポップさ、「Vex」「小宇宙」に存在する恰好の好いメロディライン、「She comes (in colors)」のキャッチーな音遊び。 

 

なんという素敵なアルバムなのかと聴き惚れ、暫くこのアルバムしか聴かない時期があったほどである。 「これはあらゆる方面のリスナーに門戸が開いているのでは!?」と感じ、ヒットの予感がプンプンしていたのだが(個人的に)、セールスはいつも通りだった。 これで売れないということは、GRAPEVINEはどうやったら売れるのかと、本気で悩んでしまったほどだ。

 

音楽市場が縮小している現在、たとえランキング上位の曲を作ったとしても、以前より経済状況は苦しいと聞く。 このまま縮小を続けていけば、近い将来上位にならなければ活動を制限されてしまう可能性もあるだろう。 他のものに囚われずに音楽活動を続けてほしいと思うから、売れて欲しいのである。

 

考察

「真昼のストレンジランド」は当時の私の予想に反して、オリコン週刊アルバムチャート7位にランクインし、8年ぶりにトップテンに返り咲きました。私の感覚が間違っていたということでしょうか。

 

記憶は朧気なのですが、このアルバムあたりでレコード会社?から「宣伝費を削る」と言われたという話がFC会報に乗っていた覚えがあります。私が危惧していたことが現実になりそうで、不安になった記憶があるのです。

 

そのせいかはわかりませんが、この後彼らはレコード会社をビクターへと移籍します。ビクターでこれまで3作出していますが「ROADSIDE PROPHET」でようやく「真昼のストレンジランド」と肩を並べられる作品ができたような気がしています。各アルバム1曲1曲はいいのですが、アルバムとしてのまとまりという意味で。

  

今年2月6日に発売される「ALL THE LIGHT」はどんなアルバムになるのか?「真昼のストレンジランド」を超えられるのか、楽しみで仕方ありません。