結婚することも育休をとることも夢にも思わなかったあの頃

大学時代に書いていたブログ記事をリマスター及び考察しながら載せていこうと思います。恥ずかしい思い出や今より稚拙な表現等ございますが、ご容赦ください。

Islands/King Crimson

 レビュー日:2008.3.23(日)

 

 

 

 

islands

 

キングクリムゾン史上最も穏やかなアルバム。静謐な楽曲群が魅力。1971年発表作品。

 

通勤する際、心が穏やかになるのもあって、このアルバムをよく聴く。アルバムが終わる頃に会社に到着するのも丁度良い。

 

キングクリムゾンの作品を聴くのには、ある程度の精神強度が必要であると思う。

 

redなんて精神状態が悪いときに聴いてしまったら、相当ダークな気分になるであろうし、lizardも、疲弊しきっているときに聴いたら、宇宙空間に飛ばされそうな気がしてくる。

 

「あ、クリムゾンを聴きたいな。」と思ったときに、精神状態を選ばないのがこのアルバムだ。

 

悲壮感のある音や流れが少なく、とても叙情的ではあるが、楽器の音が心地よく非常に格調高い。

 

テンションがあがる類のアルバムではないが、確実な一歩を提供してくれる、とても美しい作品。

 

曲の感想

全6曲なので、一言ずつ感想を。

 

Formentera Lady

低音の弦楽器の響きから始まる曲。各楽器がごたごたしていないため、メロディラインの美しさが際立つ。ボズ・バレルの歌声も魅力の一つ。

 

Sailor's Tale

邦題は「船乗りの話」1曲目とは打って変わって、波を感じさせるような激しさと静けさの対比が魅力。

 

The Letters

ボーカルと楽器隊が交互にフィーチャーされる曲。哀愁が漂うようなボーカルとメルコリンズの管楽器が激しい。

 

Ladies of the Road

気の抜けたメロディと訳の分からないリズムに虜になる曲。サビ?的な部分のコーラスハーモニーの美しさは一聴の価値あり。

 

Prelude:Song of the Gulls

ここから次曲islandsに至る曲は、この後「太陽と戦慄」や「レッド」などの無機質で叩き潰されるようなアルバムを出すバンドとは思えないほど、綺麗で優しいメロディが続く。

 

islands

前作、Lizardの表題曲のようではあるが、あそこまでの壮大さはない。しかし、小さくまとまってもいない、「ちょうどいい」作品。

 

総評

皆が知らない、キング・クリムゾンの一面が知れる良作。

 

考察

最近のツアーでは、Sailor's TaleとThe Lettersの演奏順が逆で、このアルバムを何度も聴いた身としてはとても新鮮に感じました。

 

総評は月並みな表現ですが、これまでとこの後のキング・クリムゾン作品を並べたときに、異質に映る作品です。キング・クリムゾンで有名な曲と言えば、21st Century Schizoid Manや、red、starlessあたりでしょうか。そのどれにも被らず、それでいてでキング・クリムゾンらしさを失わない曲を持つ作品なのです。

 

どのアルバムが好きかと問われたら、今でもこのアルバムなんだろうなと思いました。思い入れもあるし、素晴らしい作品です。