結婚することも育休をとることも夢にも思わなかったあの頃

大学時代に書いていたブログ記事をリマスター及び考察しながら載せていこうと思います。恥ずかしい思い出や今より稚拙な表現等ございますが、ご容赦ください。

半袖青年。~ROAD TO YOKOHAMA BLITZ~

2007.12.2(日) 社会人1年目

 

 

横浜BLITZのロッカー調査

横浜市、某区某町某アパート某室で青年Tはパソコンに向かっていた。その日行く、恐竜の名前を冠したバンドのライブ会場に、ロッカーがどのくらいの数存在するのか、彼は至急調べる必要があったのだ。

 

ライブ会場という場所はとても暑いものであるし、荷物を持っていると他の人の邪魔になる場所である。ライブ会場でなるべく人の迷惑になりたくないと切に願う青年Tは、毎度、ロッカーに上着とバッグを預け、上はTシャツ一枚という出で立ちで参加することにしているのである。

 

しかし、会場によっては入場人数よりロッカー数が非常に少なく、ロッカーに荷物を預けられない場所もある。かつて、そんな場所に運悪く巡り会ってしまい、非常に辛い思いをしたことのある青年Tにとって、初めて行くライブ会場のロッカー数を調べることは、欠かせぬ準備のひとつとなっている。

 

調査

Yahoo!の検索窓に「横浜BLITZ ロッカー」と入力し、検索ボタンを押し、その数が記載されているページと、そのロッカーに関係する情報が記載されているページを見て、彼が得た知識は以下のようなものであった。

 

・数は663個

・会場内にロッカーがある

・番号が後ろの方だとすべて埋まってしまい使えない

・最寄り駅にもロッカーがあるが、そこも埋まってしまう

 

彼の入場番号は663番よりかなり後ろであったため、横浜BLITZ内のロッカーは使用できないと判断した。そのため、最寄りの施設のロッカーに荷物と上着を預け、その番号が呼ばれそうな時刻に会場行くことにした。

 

ロッカーへ 

計画通りに、開場時間から少し経った頃に最寄りの施設のロッカーへ向かい、上着とバッグをロッカーに預け、Tシャツ1枚になった青年Tは、ロッカーから少し離れた会場へ駆け足で向かった。

 

通行人の好奇の目に対処するために、青年Tはあざとくもチケットを手に持ち、その存在をアピールしていたが、いずれにせよ目立ってしまうことに気づいた。目立つことは彼の望外である。しかし、何もせず「温度が感じ取れなくなってしまった狂人」と勘違いされるよりは幾分マシであった。

 

会場にて

さて、会場に到着すると、長蛇の列が彼を待っていた。彼はその行列を見て、それが彼の今回の目的以外のものに対する行列であると思った。しかし、その行列は横浜BLITZから伸びている。はて、横浜BLITZという会場は、一度に2つの公演を収容できるところであっただろうか?と記憶を辿っていたところで行列の張り紙に気づき、それを見やると、どうやら彼の目的の公演の行列であることが確認できた。青年Tは驚愕した。

 

青年Tのシミュレーション通りであれば、横浜BLITZに到着したところで少し待てば、会場に入れる算段であった。しかし、開場時間が過ぎて暫く経過しているはずが、会場は開場していないのである。洒落ではない。会場は開場していないのだ。

 

遠耳でアナウンスが聞こえてくる。それによると、諸事情あって開場が遅れているらしかった。仕方がないので、彼は自分の入場番号を確認し、所定の位置に並んだ。その位置は入場順番的に一番最後の集団であった。

 

彼の周りの人々はコートを着用し、マフラーを巻いてとても暖かそうな格好をしており、彼のようにTシャツにジーンズという出で立ちの者は一人もいなかった。

 

要するに、彼は浮いていたのである。

 

Tシャツの胸部にはマリリン・モンローがプリントしてあり、さらにはピンク色と言うことも相まって、彼の被害妄想は爆発していた。

 

被害妄想

その被害妄想は以下のようなものである。同位置に並んでいる者達に青年Tの姿はさぞ滑稽に見えるであろうから、あながち「妄想」でもないのかもしれないが。

 

「あのモンロー君、気合い入りまくってたなー」とライブの後日談として語りぐさになってしまうに違いない。

 

今でもヒソヒソと後ろの方で笑い合っているに違いない。

 

止めてくれ、目で射るのはやめてくれ。

 

僕に聞こえぬように射るのはやめてくれ。

 

どうせなら、笑ってくれ。お道化になれればその方が幾分か、いや幾十分楽なのだ。

 

さあ、笑え。僕を笑ってくれ。君の望む答えを返してあげよう。

 

さあ、どうした?早く言ってくれ!言ってくれと言っているだろう!いや、口にしてはいないのであるが、君たちには僕の言いたいことが伝わっているはずだ。

 

そうか、そうと知って君たちは僕を放置してそれで楽しんでいるというわけか。そうして、ボロボロになっていく姿を見て、(最も既にボロボロなのであるが)後世まで語り継ごうと言うわけか。

 

ああ、モンロー。君でさえ僕の敵になり果てつつあるのか。君は僕がこうなることを知っていたのだな。目立ちたがるのもたいがいにしてくれよ。君はただでさえ目立つのだからいいじゃないか。

 

彼らは僕を君と同一化してしまうよ。僕にはTと言う名前があるのに、彼らは君の名前を使って僕の事を呼ぶに違いない。自己同一性の欠落と言うものだよ!

 

公演終了ス 

その恥ずかしい思いを感じていたせいか青年Tは長時間、薄着の体を冷気に曝していたものの体熱を失わず、無事、その日の公演を楽しむことができたのであった。

 

今回、私が青年Tの献身によって学習したことは、何事も予定通りに行かない場合を想定して挑むべきであるということである。

 

考察

この時は、まだ羞恥心というものが私の心には生きていましたから、心底恥ずかしかったです。今ではこんなこと気にしないぐらいには神経が太くなった気がします(別の部分の繊細さはあるけど)。

 

今では座席指定のライブばかりに行っていて(といっても年1とかですが)、スタンディングのライブに行かなくなったのですが、ロッカー・荷物事情はどうなのでしょうか?

 

なお、モンローTシャツは、以前「10年戦士」の記事でご紹介したTシャツです。

www.tonymctony.com

 

あれから10年以上、このTシャツを着続けることになるのですが、これはこの時の呪いなのかもしれないと思ってしまいました。昨夏着倒していたら、穴が開いてしまったのでそろそろ寿命…呪いが解けるのかもしれません。

 

 何の呪いなのかは分かりませんけど…。