書評日:2005.3.31(木)
女の一生
GRAPEVINEの5thアルバム「another sky」に収録されている「マダカレークッテナイデショー」という曲を聴いて、モーパッサンの著作を読もうとした人も多いと思います(自分そうでした)。
曲の中にちりばめられたキーワードと、この歌詞の流れが「metamorphose」につながっているのかな?なお、「マダカレークッテナイデショー」の歌詞の中にはモーパッサンの著作がいくつか出てきます。分かっているものを挙げれば「脂肪の塊」「ピエールとジャン」「女の一生」「ベラミ」。
GRAPEVINEの曲の解釈をするために…
モーパッサンという人物が女性関係ではかなりのやり手だったらしいことを踏まえて、この歌もその流れを汲むものと考えると、何故カレーなのかが分からないのです。
それを紐解くために、モーパッサンの「女の一生」を読んだのですが、これが「ええっ?」と思わず声を出してしまうような堕ち方を主人公がしていくので、かわいそうになってくるお話でした。後味も悪すぎるし。
モーパッサンについて
モーパッサンは短編の天才のようでして、長編を書かせると重すぎてしまうらしいです。参考にしたサイトを見たところ、モーパッサンを初めて読む人には「脂肪の塊」をおすすめしておりました。
僕はそれを無視して古本屋でモーパッサンの著作を探したところ、「女の一生」しかなかったのでそれを読んでみることにしたのです。これは長編作品でしたが、物凄く重かったです。重すぎるほどに。
GRAPEVINEの歌詞に戻る
「女の一生」からインスピレーションをうけた歌詞は「今朝食ったものでさえおもいだせやしねえぞ」「頭の中わからなかった 荒屋だった」「バカな娘だった なかなかだった 朝方だった」といったところではないでしょうか?
ファンキーさで決まるのはわかんないけど…。
ジャンヌが面白いように堕ちていきます。読者は「なんて馬鹿でかわいそうな娘なんだ」と思うことでしょう。彼女は汚れを知りませんでした。そして、人間の汚さを知り、どんどんその流れに引き込まれ、汚されていくのです。そこである事件が起こってしまいます。「頭の中わからなかった 荒屋だった」のようなことが…。
その後は毎日があっという間に過ぎ去っていくのみです。「今朝食ったものも思い出せやしない」ぐらい、先日何があったかも思い出せず、いつのまにか長い年月が経ってしまいます。
そしてその後の「バカな娘」展開が後味悪すぎでした。
まとめにかえて
推測ばかりなんですが、マダカレークッテナイデショーを「女の一生」で紐解いてみるとこんな感じです。他の著作も読もうかなぁと思うんですが、初めに読んだのがこれだととっつきにくいんですよね…。
考察
「女の一生」は、1度しか読むことがなかったのですが、大分印象に残っています。太宰治の「斜陽」並みに読み進めるごとに暗い気持ちになっていくのですが、読む手が止まらないほど、その世界に引き込まれていくものがありました。
バインのマダカレークッテナイデショーは、後年「ただ言葉の響きが気に入って、口にしたかっただけなんじゃないか?」という仮説に行き当たり、それが私の中でしっくり来ています。