書評日:2006.8.12(土)
宿命
UR電算株式会社の社長、瓜生直明が病気で亡くなった。直明の葬式から数日後、瓜生家の財産処分のために親類が集まる中、直明の亡き後、UR電算株式会社社長に就任した須貝正清が毒矢で射られる事件が起こる。凶器は直明のコレクションの中にあった、ボウガンと見られているが…。
捜査にやってきた警察官「勇作」は学生時代にライバルだった、瓜生直明の息子、瓜生晃彦に再会する。そして、驚いたことに勇作の初恋の相手だった女性は彼の妻となっていた。
この後に書かれる、「変身」「分身」への足がかりとなる作品。(内容的なつながりはないが)
読書後に解説で、「最後の一行を書きたいが為に書いた」と東野氏が語っていたことを知ったのですが、それを期待せずに読んで良かったと思いました。
事件があまりおもしろくなかったので、作られた宿命でがんじがらめにしただけの作品なのかなぁと読んでる途中に残念に思ったのですが、事件はエピソード(おまけ)のようなものだったみたいです。
作品中に語られる宿命についてですが、そういった意味での宿命だったとは思いもしなかったのです。やられた、と思いましたよ。途中まで、うまく駄作だと思わされてたのです。
これ以上語ってしまうと、面白みが無くなってしまうので語れません。
事件をもっと盛り上げることはできなかったのかなぁ。そこが残念でなりません。中だるみしてしまうので。
色々な要素を詰め込み、消化させることは難しいですね。
考察
全然覚えていない…(そればっかり)。またよむことはないのでしょう。
読んだ時に面白くないと思った小説で、内容をよく覚えているものって引っかかりがあるから、再読すると意外と楽しめることがあるのですが、当時も面白くないと思って、内容も覚えていないものというのは、再読して楽しめるのだろうか?と思うことがあるのですが、結論は「否」なので読み直すことが無いのです。
それってもったいないことなのかな?