結婚することも育休をとることも夢にも思わなかったあの頃

大学時代に書いていたブログ記事をリマスター及び考察しながら載せていこうと思います。恥ずかしい思い出や今より稚拙な表現等ございますが、ご容赦ください。

皆既月食と「ぐりとぐら」のカステラと甘食と。

2011.12.11 社会人5年目

 

空を見上げると、月が何者かによって喰われていた。明るい弧の部分が徐々に徐々にと少なくなり、爪切りの仕上げの際に切られる爪のようになった。

 

私は月喰いの何者かに向かって、「一人で美味しそうなものを食べるのはずるいな。私にも寄越せ。」と念を送ってみたが、返事はなかった。

 

 

ぐりとぐら

その昔、「ぐりとぐら」という絵本の中で、ネズミの「ぐり」と「ぐら」がカステラを焼いていたのが非常に美味しそうで、母に所望したことがある。

 

しかし、私に供されたものは、あの絵のカステラとは似て非なるもので、たいして美味しくなく、私を落胆させ、文句をぶつけた母を怒らせた。

 

今、目の前で何者かが食べている月は「ぐりとぐら」のカステラに非常に似ている。手の届きそうなところにあって、非常に美味しそうなのに食べることはできないのも似ている。

 

そんなことを思っていたら、案の定お腹が鳴った。

 

今、目の前で起きている現象は「皆既月食」であるが、その言葉を用いると甘食が想起され、素朴な甘味が私の食欲中枢を刺激する。

 

私の脳内では甘食と月食のニューロンを結ぶシナプスが矢鱈と強固なのだろう。甘食は好物の一つなのである。

 

甘食 

神戸生まれの手造りパンチェーンであるドンクの、小型商品量り売り店舗であるミニワンの下北沢店には甘食が売っているのであるが、私の住まいから一番近い横浜店には売っていない。

 

ある時、下北沢を訪れた際に軽い気持ちでミニワンを覗いた私はその事実を知り、相当なショックを受けたものである。

 

どちらにもないものなのであれば、私は愕然としなかった。しかし、存在するのであれば、「なぜそれが近くにないのか!」と私は忸怩たる感情を表出させずにはいられなかったのである。好きなものはかくも遠くにあるものなれ。

 

「月を食べる者よ、私の気持ちがわかるだろう?」と問いかけたとき、月がその光る輪郭を取り戻そうとしていた。

 

考察

当時の私は甘食が好きだったのですね。今はカステラの方が好きです。コンビニのカステラじゃなくて福砂屋のカステラね!

 

 

「ぐりとぐら」の絵本は子どもには与えていません。これを読み返すまでその存在自体を忘れていましたし、特に思い入れがないからなのですが(ぐりとぐらに限ったことではなく)、カステラのところは好きだろうなあと思いました。実家に残っているか親に聞いてみようかな?