結婚することも育休をとることも夢にも思わなかったあの頃

大学時代に書いていたブログ記事をリマスター及び考察しながら載せていこうと思います。恥ずかしい思い出や今より稚拙な表現等ございますが、ご容赦ください。

Everyman, everywhere / GRAPEVINE

 

2005.2.13(日)

 

 

アルバムについて

 

GRAPEVINEの2ndミニアルバム

イデア後、
次はどんなのが来るんだろうとワクワクして、
ネットのHMVで予約購入しました。
DVD付き初回限定版。

 

イデアから約1年、どのような変化が起こったのか。
そして、どれぐらい満足させてくれるのか。
期待と不安の中CDをかけました。

 

Metamorphose

お気に入りLv8


これは「いけすかない」っぽいから西川サンの曲かな?
と作曲者を見るにご名答。
ミスター作曲らしく簡潔なイントロから、歌へ入ります。
で、バインの曲の楽しみ方として歌詞カードを見ずに
初めは聞くというのがありまして(僕だけだったり…)
で、この曲は初め、こんな風に聞こえました。


「けつめどワインデイ、これから、どこへ? 向こう?」

で、2回目に聴くとき歌詞カードと共に曲を聴きます。
ああ、なるほど、このように田中サンは歌っていらっしゃたのですか。
と思うわけですね。

でも侮れないのはやっぱり、
歌詞カードを見ても必ずしもそのように歌ってないと言うこと。

「breakthrough」しかり、「11%mistake」しかり。


で、この曲は西川氏の曲で分類すると、
「俺は俺のかっこよさを求めるさ、俺はやりたいことをやるさ。」系に分類されまして、
メロディーメーカーの亀井氏の曲と一線を画す所にございます。

またの名を「孤高のロッカー、ミスター西川ロック」系と称したいと思います。
この系統には「太陽」「いけすかない」が属します。

で、知っている人は題名と歌詞見てぴんと来ますが、
この曲はカフカの変身が元ネタだと思います.
っていうかそうだろうというか。

明らかに歌詞カードにはない彼の名を呼ぶところがございまして。
変身。
ダダイズム


歌詞がデビューミニアルバムを意識したのだか知らんけど、暗いですね。
根暗だって。
でも、明らかに違うところがありまして
斜に構えたくて構えてたのが、斜の位置にいて、
そこは自分からすれば、「正面」なんだという視点を得た所だと思うんです。
強くおしたって動きませんもの、そこから。

この曲から感じたのは、
ファンの層広げるとかそんなことは考えてなくて、
もう淡々とやりたいことやって、現在地確認でもしよかとかいってる感じ。
しかし、「変身」を意味する題名をつけたのが謎。僕が彼らの変身に気付かないだけなのであろうか。

 

reason

お気に入りLv6


多分、多くの人がイントロを聴いて


「あれ、ナツノヒカリに似てない?」
とおもったはず。


作曲者がひねくれ田中氏。
あー、狙ったんかな?と。

僕は4曲目のスイマーより泳いでる感じがします。
でも、題名と歌詞の内容からは泳ぐなんて連想語すらありませぬ。
サビはユニゾンで田中氏がこわーいこわーい低音で縛り付けてくれます。
多分壁の星以上の縛り付けでしょう。

 


everyman,everywhere

お気に入りLv6


Our Songの続編みたいな感じがするんですが、
音の世界といい、歌詞といい深ーい青色。

オーケストラがPVで出てましたが、
あれは「やってみたかった」ってやつですかね?

アルバムの中核をなす曲でありますが、
メロとサビの区分けの柵が低いです。
淡々としてるのはこの曲も例外ではありません。

メロディは亀ちゃんお得意のものですし、
田中氏の詩も秀逸なものです。

新境地「…だそうだ」を開拓しておりますし、
自分をある程度まで客観的に見られるようになったのかも知れません、ミスターみたく。

 


スイマー

お気に入りLv7


この曲、このアルバムの中では人気高いみたいです。
サイケな感じが引きつけるのか、
音の隙間を泳いでる感じがいいのか。

なんにせよ、スイマーだけでは終わらないテーマがあるんだと思うんですよね。
スイマー(流される)とでも副題つけといてみましょうか。

何も言うことはありませぬ、
ただ委ねて流されてみてください。
そうして作家の顛末まで流されていきます。

 


作家の顛末

お気に入りLv7


田中氏はこの曲をしょぼい曲にしたかったそうなんですが、とんでもない。
バインの曲で題名が漢字が出てきたら、
題名を見ただけでこれはすごいのが来ると
(愁眠、望みの彼方、南行き、壁の星、豚の皿…)
期待してしまうのですが、これも予想通り。

田中氏の書く詩の語尾。
これが文学の匂い(にほい)を漂わせ、
作家の苦悩する姿を止めます。

そして脳の中の世界へ、サビへと参ります。
苦悩し、頭の中で構成されていく衝動の数々、
やがて作家はすごい物が書ける感じがしてきますが、
それは嘘にすぎず、偽りであり、また夢であり、朽ちていく自分を垣間見ます。
そして上手く書けなかった書き殴った原稿のみが残るのでした。


以前田中氏は難解でほんとわけわかんないんだけど

「美しい」

夏目漱石の後期の作品を評していましたが、
ある人がでその美しい世界を造り上げてみようと試みたが結局、
近づくことすらできずに挫折してしまったと言うようなテーマで、
感情を綴ったのではないでしょうか。


そうしてこのアルバムは静かに幕を閉じるのでした。
ほんと寂しいぐらい、静かに幕を閉じます。
顛末=初めから最後まで。一部始終。

 

総評(CDについて)

 

いやー、実に淡々としすぎていて
物足りないと感じる人は多いと思います。
しかし、また繰り返し聞きたくなる中毒性はもっています。


ミニアルバムと言うことで、
彼らなりの位置づけみたいな物があるんだと思うんですよね。
デビュー作はミニアルバムだったし。


それとイメージを重ね合わさせようとしているのか、
違うと言うことを主張したいのか、はたまたそれとは別なのか。
とにかく、よくわからんけど、すごいいい味を出してるアルバムですね、これは。
ファンはまたさらにファンになっていくし、
今までバイン聴いたことない人はわけわかんないだけかもしれんし…。

 

DVD編

実は、到着と同時にDVDを見ました。
新曲はいいのかよ!と、思われそうですが、だって、ねえ。
このDVD


すごいんですもの!!


ライブの途中からって言うのは少し残念なんですけど、
それでも9曲+1曲入ってますから~!!
さらにさらに!最新の曲は自分の好きな曲ばっかりだし、
「Paces」と「いけすかない」まで入っているという、
ありがとうバインさん!のDVDでございまして…。


豚の皿 

お気に入りLv10


「あー、バインのDVDが始まるー始まるー。」
とワクワクしておりまして、解説書を見ていたところ衝撃的事実が!!


このDVD途中からなのー!豚の皿ってライブの一番はじめじゃないの!?


とビックリさせられました。
さすが、違いますね。さりげなく豚の皿やっちゃってますもの。

 

で、ライブ盤「NAKED SONGS」を思い起こしました。
あのとき田中氏の声が明らかにCDと違うものであったので、
豚の皿の雰囲気も変わっちゃってないだろうかとちょっと不安になりましたが、
歌が始まって(歌が入るまで長かったのでドキドキでした)、声にぞくぞくとしました。

なんかα波出てるんじゃないかと。
以前みたいにがなってるんじゃないんです。
とにかくすげーと、このひとボイトレ欠かさずにやってたんだなと。
伸び、響きそれらが最高レベルです。
以前みたいに声が細ーいとか、
ライブだとそれを隠すためにわざとがなってるとか。

いつのはなしだよ!!
って一蹴するほどの田中氏の声に僕はゾクゾクしっぱなしでした。

 

この映像で思ったことは、5人バンドであるって言うことを訴えてるみたいということ。
だって西川さんより金戸さんのほうが明らかに写る回数おおおおおいもの。


で、この5人バンド息があってまして、
豚の皿の世界観を見せつけるように、
それがさりげなくさりげなくあって素敵です。

「皿を満たす…」っていうところのハモリは
気持ち悪いように決まってまして、
そこでCDよりもアヤシイ雰囲気が出ておりまして。

その後の西川さんのソロ。
何やってんの?っていう感じですよね。
それをさりげなくやってしまうという流石ミスター。
もう、この曲は語り尽くせん…。

 

見て見てみてみてみれ!

  
SEA

お気に入りLV6


ええっ、これをライブでやるんですかい?バインさん。濃すぎますよ…。

観客吸い込まれてますね、彼らの波に。
で、もう戻れなくなってる。
僕、感覚がうねってました、この曲やってる間ずっと。

西川さんのかき鳴らすギターにのまれましたよ、ぐーぐいぐいと。
こんなの、勢いだけのバンドがやったら怒られますよ、あくび出ちゃいますよ。


Paces

お気に入りLv8


これを聴けると思ってなかったんで、感激ですね。
デビューミニアルバムの最後の曲です。

曲はすごいんだけど演奏がねー、と酷評されていましたので
「曲がすごけりゃいいんだい!」
と、誰にもきこえないように反発してましたが。

確かにCDだと田中氏の声は細いし、
亀井さんのドラムもイマイチで、
曲と西原さんのベースのねちっこさはいいんですが…。

でも最高に好きな曲なので、これをライブで聴きたいとおもっておりました。


もっと欲を言うと今の演奏技術で再録してくださいといいたいのですが(笑)

これ、ほの悲しいという表現がぴったりな曲だったんですが、
ライトのせいか暖かみがあって、タッチも暖かくなっているなぁと、
この曲はこういう解釈もあるのかなと思わされました。
この曲だけでご飯5杯はいけますよ。

 


いけすかない

お気に入りLv8


ここで兄貴西川氏の親父ロックが登場です。
その前に田中氏の思わずにやけてしまうMCがございましたが、
それは見てのお楽しみと言うことで。

「いけすかない」って辞書を開いてみたら「非常に気にくわない」って
意味らしいのです。

これがですね、
いけすかないから、嫌である。
いけすかないけど、すごい。
後に続く言葉により様々な使い方ができちゃう言葉なんですね。
その点も把握しきっている抜け目のなさもバインの魅力。

で、ミスター西川が作る曲はその象徴でございまして、はぁー。
もうすごいかっこよくて、溜息でますよ。
ほんと、さらにみんな楽しそうなんですもの、演奏者。

で、解説書を見ると、ん?あれ?作曲者が亀井さんになってるーーーーーーーー!!ええっーー!?
Lifetimeでは西川さんなのに、ええっ!? ま、いっか。

 

お気に入りLv6

この曲はCDで聴くと
「なんだこの、微妙にずれてる感じは!?」
と感じるのですが、ライブでは冴えますね、やっぱり。

かつてCDの歌入れがあんまりうまくいかないと田中氏が言ってた気がするんで、
それのせいもあるんだとおもいますが。
歌→演奏の繰り返しで、その間の田中さんのかけ声がおもろかっこいい!

 

アンチ・ハレルヤ

お気に入りLv7


題名ひねくれております。
イデアのCDで聴きますとカラッと、あっさりとした感じですが
それはライブでも一緒です。

で、おもしろい。
亀井さんが途中で笑ってます。
田中さんも照れ笑いしてます。
僕は吹き出してしまいました。
まあ、見れば分かるんですが。

この歌泳いでる感じがするんですよね、
ベースのリズムとキーボードがそう感じさせるんだと思うんですけど。
で、田中氏の巻き舌、これかっこいい。
そういえば巻き舌って高い声出すトレーニングに使われるらしいですね。

なんか、若いだけじゃ出せない味があります。
歌詞にもあるとおり。
センチになりそうな曲だけど淡々と刻んでいくメロディーがそう感じさせます。

 

Suffer the Child

お気に入りLv7


これと次のミスフライハイはライブ映えしますね。
演奏全体の技術もさることながら、田中氏は成長した歌唱力を見せつけます。

英語の発音わざと下手に言ってんですかね?
日本語と韻合わせるためにですかね?
なかなか笑ってしまうかっこよさでございます。
さらにまた巻き舌炸裂。西川氏のギター炸裂。
この人のギターの弾き方は独特で
スポットライト当てたらずっとひいてそうです。

でも多分本人的には力をためて美味しいところを持っていきたいという。
キーボードの高野さんカクカク(この人かなりかっこいいですよね?)。

この映像、田中氏の足が細くて動きが…、
ライトの色も妙に艶めかしく…。エロイですねー。

 

ミスフライハイ

お気に入りLv7


田中氏が目を見開いて

「ミスッフゥラァーイハイ…」

西川さんも口を大きく開いて

「ミスッフゥラァーイハイ…」


田中氏も十分カッコいいんですが。
それよりもミスターがかっこよすぎて鳥肌が立ちますね。
この曲は西川さんが、
「最後の方だからそろそろやりますか」
といって全編に本領発揮するかのごとくギター、コーラスに並々ならぬ物を見せつけてくれます。
それにからむベースの音。金戸さんもやる~。
テンションも最高潮でエンディングへ向かいます。

 

 

Good Bye My World

お気に入りLv10


秀逸なメロディーを十八番のミディアムナンバーで奏でる、ラストの曲。
イデアのアルバムでは中間に位置していたので、
ここまで感慨はわきませんでしたが、やっぱりすごい。
泣いちゃうよ、ライブ行ってたら。


とにかく生で見たーーーーーーーーーい!!!


メロでの田中さんの手がなんだろうというのはまあ置いといて。
サビになって照明がメンバー全体を包みまして、僕にはその照明がとても神聖に見えます。
ギターソロでは西川氏にスポットが当たり、
これでもかと言わんばかりに、独特の動きとソロを見せつけてくれるのでございます。


ラストではジャーニーのスティーヴ・ペリーばりの叫びで僕をメロメロにして、グッバイです。

 


次回のツアー、いきたいよーーーーーーーーーーーー。近くに来ないかなー。うーん。


special 会いにいく

お気に入りLv6


京都駅ビルでやったライブのラストも収録されていました。
それがこの曲。バインが夕日にてらされております。
この曲はライブで成長していってるんですかね?
CDでは荒削りと言われてますが、この映像では、ものすごい切なさを感じさせるんですよね。
夕日は暖く切ないものに感じさせて、
それにてらされて歌う田中氏が、それらを何度も経験してきていて、
それを悟ったような落ち着きがでてきてる。

 
ああ、ありがとうバインさん。こんな素敵なDVDをつけてくれて。

 

考察

なかなかライブDVDに対して熱量が高めですが、それもそのはず、確かこの時点で「ライブ」と言うものに行ったことが無かったのです。

 

ライブに対して、憧れと畏怖が入り混じった感情を持っていて、結局オリジナル版を聴いていればいいやと思って、諦めていたんです。東京怖いし(笑)

 

それが、ライブに行きたい方向にぐっと傾いたアルバムだったんですよね。思っていた以上に凄すぎて。それはやはり、NAKED SONGSの粗さにがっかりしていたところからの大逆転のようなクオリティがあったからこそなのかもしれません。

 

 

NAKED SONGSは曲もあまり好きじゃなかったからかもしれないな。

 

と、このアルバムに関してはどうしてもDVDの方が思い入れが多く、曲はおまけ的になってしまうんです。いい曲揃ってるんですが、佳曲と言う粒度だし。淡々としすぎてるし。といいつつ、好きですけどね。