レビュー日:2008.4.13(日)
兄と二人、赤い文化住宅に住む中学3年生の初子。口数も少なく、はっきりしない性格で、アルバイト先のラーメン屋でも怒られてばかり。同級生の三島に勉強を教わり、高校進学へ向けて努力しようとするも、厳しい財政状況故、兄には頑なに拒否されていて…。タナダユキ監督作品。
赤い文化住宅の初子
ものすごく、救いのない話を、ほどよくシュールな構成で、悲壮感漂わせない鑑賞後感を得る作品に昇華させている。
主人公を含め登場人物のほとんどがどうしようもない部分が9割の人間。しかし、残りの1割を輝かせることで、物語を引き締めている。
救いや希望がほとんど無い作品なのに、どこかにキラキラとしたものを感じてしまうのはそのせいか。
悲壮感ややるせなさを描いて、人の涙を誘う映画は数多くあるけれど、その流れの話であるにもかかわらず、ギリギリのギリギリまで涙を誘わない構成はとても新鮮で。
見て良かったなと思った。
主人公が可愛くないのがまたいい。素材はいいし、かわいくしようとすればできるけど、あえてかわいくしない感じ。
考察
「百万円と苦虫女」でタナダユキ監督が気になって、監督作品をひたすら観ていた時期がございました。その流れで観たのがこの作品なのですが、内容は例のごとく思い出せません。
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映画に関して言えば、バッドエンドモノや、救いのないものはあまり見たくないのですが、そんな私が酷評していないところからすると、良かったんだろうなと思います。見直すつもりはないけれど。