レビュー日:2006.10.29(日)
Something Else
KINKS大衆路線、最後のアルバム。これ以降、多くのバンドとミュージックシーンがサイケへ移行する中で、デイヴィス兄弟達は流行に流されずに我が道を突き進む。
ビートルズの「サージェント…」にミュージックシーンが湧く中、ひっそりとリリースされた、こじんまりとしたキンクスのアルバム。
音質はモノラルだし、演奏は微妙だし、曲も平坦だし…。初めて聴く人には数々の不満が出そうですが、好きな人にとってはそれが愛すべきキンクスの姿なのでしょう。
デイヴ(弟 G&Vo)の歌が多いけど、特筆すべき曲はない。それだけにレイ(兄 Vo&G)の「Waterloo Sunset」と「Autumn Almanac」(ボーナストラック)が光る。
後にThe JamがカバーしたDavid Wattsも収録されています。
よくカバーされる
キンクスは「You Really Got Me」や「All Day And All Of The Night」といった、ハードロックの祖的な曲をやってるイメージが定着しているけれど(他アーティストのカバーも影響していると思われる)、実はこのアルバムや「アーサー」にみられる、非常に庶民的な歌や牧歌的な歌が多い。
ポール・ウェラーやピートタウンゼントなど他のアーティストがレイのベストソングとしてあげるのは「Waterloo Sunset」だし、もっとも英国らしいバンドとしてキンクスの名があげられるのは「Waterloo Sunset」に代表されるようなミディアムナンバーがあるからなのではないかと思う。
うん、「Waterloo Sunset」はいい!(笑)
好きな曲
でも今一番好きなのはボーナストラックとして入ってる、「Autumn Almanac」シングルでリリースされた曲で、当時の評論家から評判が良くなかったけれど微妙に売れた曲。
キンクスらしさが出てるしメロディラインも素晴らしい。コレがボーナストラックで入ってなかったらこのアルバム、買わなかったかもしれません。そのぐらい、大好きな曲です。秋だし、聴いてみては?
Afternoon Teaも、いい。ティータイムには最高だと思われます。レイの歌い方が優しいのなんのって…更にお茶目なんだなぁ。。
おわりに
その他余り気に入らない曲も中にはあるんだけれど、とばして聴けば問題なし(笑)一家に一枚、大英帝国の誇る庶民派バンドキンクスはいかがでしょうか?
考察
Something Elseはアルバムとしてのまとまりには欠けているものの、キャッチーな曲が多く、キンクス好きがフェイバリットアルバムとして挙げられることが多い作品だと思います。
私も当時はこれが一番好きだったような気がします。今は「ローラvsパワーマン」かな。
ロンドン・オリンピックの閉会式でキンクスのフロントマン、レイ・デイヴィスが一人で現れて、Waterloo Sunsetで「友達なんかいらない」と歌っていたのには強く感動したし、ずっと心に残っています。「そうか、友達なんていらないんだ!」ってポジティブに捉えられた出来事でした。
Ray Davies (of the Kinks). - Waterloo Sunset
何回見ても素敵。