結婚することも育休をとることも夢にも思わなかったあの頃

大学時代に書いていたブログ記事をリマスター及び考察しながら載せていこうと思います。恥ずかしい思い出や今より稚拙な表現等ございますが、ご容赦ください。

ATOM HEART MOTHER / PINK FLOYD

 

レビュー日:2006.3.13(月)

 

 

 

原子心母

キング・クリムゾンと並び評されるプログレッシブロックの代表格、ピンク・フロイドの通算5枚目のアルバム。レコードA面全部を使った25分にも及ぶ大傑作「原子心母」をフィーチャー。ピンク・フロイドの評価と人気を決定的にした大ヒット作である。1970年発表。

 

自分の音楽を聴く幅に影響を与えた作品です。これを聴いた後、クラシックやフーのトミー、そして他のプログレも聴けるようになりました。一番最初に手にしたピンク・フロイドのアルバム。それでいて一番お気に入りのピンク・フロイドのアルバムです。ピンク・フロイドと言えば「狂気」を思い浮かべる方も多いと思いますが、僕はこっちの方が好きです。

 

これを手にする1年前、キング・クリムゾンに手を出した(レンタル)のですが、そのアクの強さにプログレは合わないと思ったのでした。「歌詞カードの解説はないわ、音は古くさいわ、プログレってこんなもんなの!?」と。

 

で、プログレはもう借りまいと決めていたんですが。1年後に名前とこの牛の絵が目について借りてみたんです。ピンク・フロイドプログレだと知らずに…。

 

さて、キングクリムゾンの二の舞になるかと思いきや、一年前のリプライズにならなかったんです。A面で25分もあるこの作品をすんなり消化してしまったのです。そしてリピートするほどの中毒性があって、完全にハマりました。B面の曲も秀逸で肌に合って、トータルアルバムとして素晴らしい完成度です。

 

本作は賛否両論別れる作品でもありまして、嫌いな人はフロイドの歴史からも消し去りたいと断言してしまうほどのものだそうです。中途半端にクラシックの要素を取り入れ、サイケデリック感が不本意だと言う声があったり、全体的にだるくて、聞いていられないと言う声もあったり…。

 

でも、好きな人も多いのも本作。ゆるさがたまらないという声や、サイケ感と現実感のバランスが絶妙という声があります。

 

合わない人はとことん嫌いになり、ピンと来てしまった人はとことんハマってしまう。ゆえに、他人の意見に左右されてはいけない作品の代表格であります(どれもそうだけど)。

 

本アルバムはクラシック音楽交響曲のようなAtom Heart Motherが、「ロックとクラシックの融合」というキャッチフレーズがつけられたほどであり、タイトル曲であることから、評価を受ける作品でありますが、音や演奏技術的には決して高いものではなく、人によってはこれを聞くより、正統なクラシック音楽'''を聴いた方がいいという人もいます。

 

今アルバムがこの曲だけであったならば、そのような声に押しつぶされていたことでしょう。しかし、本アルバムはB面作品が素晴らしく、A面とB面が絶妙なバランスで成り立っており、本アルバムをフロイドの、そしてプログレの代表作とするにふさわしいものとなっているのです。

 

B面曲一部紹介

B面曲は楽曲としては似た色を持つ4曲が並んでいますが、どれも個性的かつ、完成度が高いものばかりです。

 

Summer 68

メロのピアノの優しい旋律サビで体感できるサイケ感、思わず口ずさみたくなるメロディーとアコギのさっくりした音が心地よく響きます。本アルバムで一番好きな曲です。

 

Alans Psychedelic Breakfast

3章からなるアルバム最後の13分の曲は、1曲目の壮大感とは全く違う雰囲気の曲です。日常のワンシーンワンシーンを形作るようなソフトなプログレ。この曲に辿り着くと、切ない気持ちになるとともに、ほのかな充足感がわいてきます。

 

プログレを聴いてみたい方、聴いてみてください。

 

考察

結局ピンク・フロイドはこのアルバムと狂気以外は聴きこまずにここまで来てしまいました。あの頃駄目だったキング・クリムゾンにこの年になってどっぷりとハマるのはなんの因果なのだろうか。

 

そしてYES→ELPと好きになって来たのですが、ピンク・フロイドには辿り着けておりません。このアルバムは好きなんだけど、YESの「危機」を聴いたら。Atom Heart Motherの衝撃が薄れてしまったんです。以来退屈な感じしかしなくなってしまって。

 

B面曲は今でも大好きです。2068年まで生きて、Summer 68を弾き語りできたらいいな。