レビュー日:2008.12.29(月)
Friendly Fire
ジョン・レノンの息子、ショーン・レノン。実力をつけ、自らの世界観を構築したセカンドアルバム。メランコリックな世界が炸裂する、ショーンのアルバム。
宿命として必ず比較される父親のサウンドを昇華した音楽世界になっており、「ジョンと似てるね」だけでは終わらない、ミュージシャンとしての成長が伺える。
10曲でトータル40分に満たないアルバムであるが、自分の音楽をやり通した自信のようなもので漲っている。
1曲目DEADMEATでそれが自己満足で終わらないことを証明して見せ、最後のFALLING OUT OF LOVEの、切ないが、どこかやさしく、温かみを感じるメロディで十分な完成度を誇るアルバムを締めくくる。
ジョンの息子だから…(がっかりするだろうな)と思って、敬遠していた自分が恥ずかしくなる。
同じ気分でいた方は、是非、御一聴を。
考察
確か恋人との別れをエネルギーにして作られたアルバムだったと記憶しています。そういった意味では、ジョン・メイヤーの『still feel your like man』と同じエネルギーですが、そこまでストーカー的ではないのが違いでしょうか。
John Mayer - Still Feel Like Your Man (Video)
タイトルで引っかかりを覚えたのですが、まさかそんな内容だとは思わなかった曲。
話がジョン・メイヤーに行ってしまいましたが戻しましょう。ショーン・レノンは1998年に「Into the Sun」というアルバムを出したのですが、実力不足だとか親の七光りだとかで酷評されたそうです。確かに上手ではないですが、素晴らしい曲がたくさん収録されたいいアルバムだったのに。親が有名すぎると大変ですよね…。
それが原因かは分かりませんが、このセカンドアルバムが出るまでに10年かかっています。この『負』のエネルギーが無ければ作れなかった作品でしょうし、もしかしたら1枚だけで終わっていたかもしれません。ファンとしては万々歳…というわけではないですが、これらの出来事に運命いうか必然というか、そういったものを感じてしまいますね。
アルバム全曲にMVがあってそれを付属DVDとしているのですが、このエネルギーも相当なものがあるよね…。
ちなみに9曲目のWould I Be the OneはMarc Bolanのカバー曲です。アルバムに馴染んでいたのでカバーだとは思いませんでしたし、原曲を聴いてもショーンの作品だとしか思えないほど、自分のモノにしていました。