レビュー日:2005.12.24(土)
A Quick One
軽いサイケなジャケットが目につくフーのセカンド。
パンクなんだけどポップ。フーというとピート(G)が曲作ってるイメージが強いけどロジャー(Vo)以外メンバー全員が作曲をしている。
普通、ボーカルって曲作るもんだと思うんだけどロジャーの場合立場が弱いからかなぁ…。クビになったりしてるし…、イマイチ個性のないボーカルだったし。
フーはそれぞれが好き放題やって独立しちゃってるイメージがあるバンド。で、このセカンドはそのバラバラさがうまく出てるアルバムって言っていいのかなぁ?
フーは楽器を壊す派手なパフォーマンスで有名になったバンドの元祖。と言われる。そのパフォーマンスの中身はバンド核のピート(G)がギターをぶっ壊して真似してキース(Dr)がドラムセットを観客席に投げつけたりロジャーはマイクをブンブン振り回す。ジョンは無関心で楽器抱えているだけ。
サウンドの面ではキースが好き放題ドカドカとドラムを叩き(グルーヴ関係なし 笑)ジョンは冷静な見かけとは相反して凄まじい音を出し(ゴッドフィンガーだっけ?)ピートはその二人をまとめるようにリズムキープのギターストロークを炸裂させ(ウインドミル奏法誕生)ロジャーは…とりあえず、歌う。(後期は感情むき出しで歌う)
バンドの一人一人のキャラクター性が確立されてるバンド。(トミー以降)
この一人一人の個性がまとまらず発揮されてるのがセカンドアルバム。技術的にはヘタなんだけど、「フーらしさ」が出てるアルバム。
でも、フーの歴史を語るとこのアルバムは、トミーへの足がかりでミニロックオペラの「Quick One While He's Away」しか触れられない…。いや、この曲すら触れないときもある。
個人的にはロックオペラ・トミーよりQuick One While He's Awayの方が好き。この曲は流れるように次の展開に移るので面白いし、なにより演奏してるのが楽しそう!
トミーは同じフレーズの繰り返しが多く内容が難しいので最後まで聴き通すのが疲れる…。だから、トミーへの足がかりとこのアルバムを呼ぶよりは、「フーのパンクでポップなアルバム」と呼んでフー歴を語る上で重要地点にしたほうがいいと思うんだよなぁ。このアルバムはロジャーがいなくてもいいから重要視されないのかなぁ…。
ボーカルってバンドのフロントマンだと思うんですけどフーの場合、他のメンバーの個性が強すぎてロジャーのキャラが成り立ってなかった…。第4のメンバー扱い…。
ライブ中いきなりジャムりだすことがあったらしいのですが、ロジャーはボーカル専門…。何もすること無いんですよ~(泣)
ひたすらマイク振り回して曲に合わせて感情を身振り手振りで表現するだけ…。アツカイガヒドイ…。
トミー以降は少しは待遇も良くなったと思うんですけどね…。(今ロジャーが一番ピンピンしてるのはなんたる皮肉…)
今売られてるこのセカンドはオリジナルに加え10曲も追加されていてお買い得!!カバー曲Heatwaveは最高にポップですしピートの曲So Sad About Usは秀作。この2曲は「The Jam」にカバーされている曲で、ライブでも人気を誇った曲です。
フーを前から聴きたいと思っていたんだという人は是非一聴!!
フーがいいかもと思った人は併せて映像作品もオススメします。フーはライブバンドなので、そのパフォーマンスは必見です。
お気に入り曲
So Sad About Us
Quick One While He's Away
考察
この頃はQuick Oneの方が好きみたいですけど、今はTOMMYの方が好きですね。ザ・フーは大学時代をピークに段々と聴かなくなってきました。最近殆どのアルバムを手放してしまったし。先日、久しぶりにWho's Nextを聴いたけど、当時の興奮はありませんでした。
おそらく、2008年の来日公演を観に行って熱が冷めてしまったのでしょうが、それはまた別の話。このアルバムは粗削りで若々しい部分があるのですが、それが最近は受け付けないのかもしれません。
ただ、ストーンズの番組のQuick One While He's Awayは今見ても無茶苦茶恰好いいです。この曲だけはこのアルバムの中でも別格です。