レビュー日:2007.1.23(火)
Live at Leeds
The Who絶頂期のライブを収めた一枚。デラックスエディションは「トミー」のライブアクトが全編収録されている。
1枚目の単品曲群のテンションも素晴らしいですが、2枚目はやばすぎます。それしかいいようがないです、1曲目のoverture始まったところで鳥肌立つし、ラストのListening to You連発まで興奮しっぱなし(自分がTOMMY中毒であると自覚しました)。
なんといっても、演奏が素晴らしすぎます。ピートのギター演奏は、彼と分かる音色とアクセントをもってるんだけど、その魅力が十二分に発揮されているし、ドラムとベースへの絡みつきがやばすぎるほどハマっています。
フーはリズム隊が特異な攻撃性を持ったバンドなんだけど、このライブ盤は狂気としか言いようがないのです。(2枚目なんて特に)
ドカドカドラムを叩きまくるキースのテンションがかなりイっちゃってるんです。キースのドラムが一定のリズムを保ちつつも、たまにリズムを外すリードをするんだけど、ピートがそのズレを絶妙に利用して、独特のギターグルーヴをを生み出しているし、それにお構いなしでベースのジョンもついていって…。
というかジョンの場合は勝手放題やってるんですよね、ベースの音が他のバンドのベースじゃあり得ないほどデカいし、自己主張しまくってるんです。ジョンが思いっきり流れをもっていくこともあるし、まさにライブ盤の中のライブ盤です。
このライブ盤を聴いて、オペラとかけ離れているにもかかわらず、ロック・オペラなんて言われてしまう理由が分かる気がしました。コンセプトアルバムをライブステージで4人で演奏するんですからね。
この時代のコンセプトアルバムは逆再生などを使用するなど、凝りに凝っていたため、ライブで再現して演奏されることは殆どなかったのではないでしょうか。やったとしても同じ流れでやらないし、ライブ自体も短いので、ライブでやったとしてもコンセプトアルバム中のシングルヒット作品ぐらいだったと思います。
にもかかわらず、ザ・フーはいつものライブ+トミーをそのままの流れで演奏し2時間を越えるライブアクトを展開していたわけで…。しかもテンションも演奏力も高く、当時、最強のライブバンドと呼ばれていたのには疑いがないですね。
あ、そうそうロジャーもいいですよ(笑)序章やスパークスの時はいつもどおりマイクブンブン回して「おうおう」やってたんだろうけど、満を持して2枚目3曲目の「1921」で歌いだす時は、演奏のテンションにちゃんとのっかってますからね。
ちなみに、この頃のロジャーの声が一番好きです。以降、どんどんカクカクして変な渋みが増してしまうんです…。。この頃はまだ歌唱スタイルを変えたてだったからか、若さが程良く残ってる感じでいいんだなぁ。
ザ・フーは全員が(キースはホントにたまにだけど)ボーカルをとれるし、声質も4者4様なので、コーラスも聴ききどころです。コーラスがカッチリと決まっている時は鳥肌モノ。
ここまでTOMMYライブの2枚目についてしか話しておりませんが、初めてザ・フーを聴く方には1枚目をオススメします。
「サマータイムブルース」や「Tattoo」、「I'm a Boy」などなど、ポップでノリが良くて、ほどよくお洒落感漂う曲が並んでいるので。途中途中泥臭い系が入りますけどね(笑)
ということで今年はザ・フーにはまってみませんか?
考察
amazonでこの商品を検索してみたのですが、バージョンがいくつもあるんですね…。リマスターモノ、SHM-CDバージョン、何十周年エディション…、たくさんのバージョンが出てきて辟易してしまいました…。古参バンドはこういう商法大好きですよね…(本人たちの意向なのか、レコード会社の意向なのかは分かりませんが)。
サポートミュージシャンのいない4人での演奏にもかかわらず、ライブの完成度は物凄く高いですよね(オーバーダブとかしてそうだけど)。2008年に来日したときはサポートミュージシャンもいっぱいいて「オールディーズ感」が満載で少し興醒めしてしまったのですが、この全盛期のパフォーマンスだったら何回でも見たくなった気がします。
2枚目のTOMMYフル演奏は原盤より好きです。TOMMYを最初に聴いた時はライブ映えするなんて思いもしなかったのですが。