結婚することも育休をとることも夢にも思わなかったあの頃

大学時代に書いていたブログ記事をリマスター及び考察しながら載せていこうと思います。恥ずかしい思い出や今より稚拙な表現等ございますが、ご容赦ください。

deracine / GRAPEVINE

 

2006.5.5(金) 

 

 

アルバムについて

全作から約二年ぶりとなる、
GRAPEVINE通算7枚目、メンバー3人、演奏5人体制でのセカンドアルバム。
タイトルの「deracine(デラシネ)」はフランス語で根無し草という意味を持ち、
「故郷や祖国から切り離された人」の比喩に用いられる。
プロデューサーに長田進を迎え、サウンドが深化。
GRAPEVINEがよりGRAPEVINEらしく変貌を遂げた。

ライブで盛り上がるBPM過去最速シングル「その未来」
久々の西川さん曲シングル「放浪フリーク」を含む全10曲。

リリースが去年(2005年)。
ついこの間買ったものかと思いきや、
時が経つのは早いものですね。

 

過去作品に比べ聴きこんでいないのですが、過去作品に比べ脳内リピートが激しいスルメアルバムです。

イデアに比べだいぶ落ち着いた印象を受けます。でも、地味ながらすごくいい10曲が並んでいます。いい環境で曲作りができてるんでしょうね。

 

かつて僕がバインに見ていたものは、とても繊細で触れたら壊れそうなガラス細工みたいなタナカ像の、すれすれの今にも悲鳴がこえてきそうな切ないサウンドでした。

それをなんとかまわりのアニキ達が支えて盛り立てて、時にリーダーが主役になってあげて辛いときには痛みをかばってあげられるような。そんな印象。

 

前作イデアは、タナカさんの必死の抵抗で威勢を張り上げ、サウンドの激しさとバラエティで勝負したアルバム。リーダー不在西川さん曲無し。のアニキ不在でどこまでいけるのか?


なんだかイデアってアルバムとしてなかなか聴けないアルバムなんですよね。好きな曲は多いんですけど、トータル性がイデア(アイデア)なのに、イデア(完全)じゃない。


それに比べ、本作は一度かけたら気づくと何度かリピートしてるんですよね。聴き飽きないのとアルバム作品としてとてもコンパクトにまとまってるせいなのでしょう。聴くときによってツボにくる曲が違ってくるのも魅力。

 

今に見るのは突き抜けたタナカ像の神々しいほどに内に輝く悟りきったなにかです。

ライブの「KINGDOM COME」のイントロで照明に照らされるタナカさんを見たときに、なにかを悟ったんだろうなと思った気持ちが間違いでなかったのだなと感じました。

 

13/0.9

お気に入りLv8
読み方:じゅうさんすらっしゅれいてんきゅう
(0.9が英語で読めなかったかららしい 笑)

 

ドアーズの「ハートに火をつけて」へのオマージュとたばこへの愛を綴った曲ですね。

最初はまさかたばこについて歌ってるとは思ってなくて、ジムモリソンの生き方と照らし合わせながら歌詞を眺めていました。

 

知覚の扉を、近くの扉とかけてみたり
お笑いとコラボしたことから
はねるの(以下略)とかけてみたり

 

どれも違うなと思っていたところに
たばこの歌と聴いて、かなり納得してました。

 

その未来

お気に入りLv7


過去記事参照…

 

young.tonymctony.com

 

といいたいところですが、
約一年経ってみての感想をちょこっと述べてみます。

過去も未来も見つめて
自分を見る機会ってなかなかないと思います。

過去を振り返ってばかりの人は多いのですが、
未来に目を向ける人は少ないんですよね。

これから自分がどうしたいのか
見ておかないと、いけないんですよね。
でも、なかなか見ることができる人は多くないんです。
だから、この曲を聴いたのなら見ろ。
って言ってるのかもしれないなぁと思いました。

いや、未来だけ見てても危ないんですけどね。

 

少年

お気に入りLv7


「Colors」に続く少年作品。
派手なことをしてるわけではないのですが、
グルーヴが独特な「ゆるさ」を持っているため、
盛り上がれ、浸れる曲。


オトナな演奏の少年(笑)


同じフレーズでも
ぐるぐる変わりゆくサウンドの渦に、
引き込まれていきます。


少年は本当のことを知りたがるけれど、
照らすのは大人の人だから
結局、「本当のこと」は
オトナによって作られたものなのかもしれません。
けれども、それでも
「本当のこと」にすがるしかないんですよね。

 

VIRUS

お気に入りLv6

ヴァイラス、ウイルス、ビールス、バイキン…
長田さんイチオシのとっても妖しい魅力漂う曲。
「SEA」の続編的作品。

最後のフレーズの繰り返しが
怪しく響く。
言葉と音に厚みを増して行く展開に鳥肌。


なにかのインタビューでタナカさんが

「カードローンを延滞したので」
「煩わしいよ、スポーツニュースは。」
「原宿にウイルスを流した。」
等の歌詞について聞かれていて

「いや、延滞してませんよ」
「原宿とかスポーツニュースとか嫌いですもん。」
と答えていたのが印象に残っています。


実際に延滞してたらちょっとマズいですからね。


REW

お気に入りLv7


リワインド
初期グレイプバインの雰囲気漂う曲。

最初聴いたときに
「精錬を」の歌詞を「青年を」と聞き
3曲目の「少年」と何かつながりがあるのか!?
さすがだなぁ、と思った記憶があります。


かつてと違うところは
歌詞とサウンドが自由になったところでしょうか。

歌詞にはしてやったりの言い回しと
多くの意味を持つ言葉の流動性
巧みに気づかせ、社会に疑問を投げかける。

フットワークの軽いシンプルなサウンド
繰り返すグルーヴが絡まっています。

 

たしかに青年は、
荒々しい報道と、
わざとらしい外連味で着色された
リアリティの感じない物事を、
感情を煽られて
いろいろ思案するのが好きだよなぁと思いました。

 

放浪フリーク

お気に入りLv7


渋谷陽一氏絶賛のシングルカット曲。
当人達は絶賛されたからシングルカットした訳じゃないと言っていますが、
実際のところどうなんでしょうね?

キラキラ輝くイントロのギターが印象的な西川曲に乗せられた、
メロディも内容も難しいうた。
このメロディで声が軽薄にならないのは大変だと思います。


先ほどこの曲のプロモを見たんですけれど、
海外のホームビデオみたいで
突き抜けた感じの脱力系でした(笑)
西川さんの帽子はいったい何なんでしょうね?


嘘もいい 苦悩もいいが
言い訳してると大抵不幸になったよ
心に染みいります。

 

KINGDOM COME

お気に入りLv9


当時、郵政の改革真っ直中で
新党が誕生したり、議員もめがあったり
政治のことを皮肉っている曲だと思っていたんですが、
どうなんでしょうか?
ディズニー映画でも見たんでしょうか?

歌い方が洋楽の歌手を意識したものでしょうね。
かなり素敵?な歌い方です。
サビの単語単語が好きです。
上手く言葉を合わせてます。

エンディングでは馬鹿らしいコーラスがあり、
ダサかっこよく楽しませてくれます。

サウンド的にも元ネタがたくさんありそうな雰囲気なので、
誰か知っていたら教えていただきたいです(笑)

 

 

それを魔法と呼ぶのなら

お気に入りLv7


最初に聴いたときは
何も感じなくて、「lifework」のように、
外しを狙った曲なのかと思っていました。

ライブでも少し違和感を感じる曲だったのですが、
ライブ後、ある日突然じわりと来だして
それ以来胸に来る曲の一つになりました。

録音トラックをフルに使っただけあって
随所随所に面白い音が使われています。
探してみると面白いかも。


歌詞の中にある「それ」
が何なのか、一体魔法とは何なのか?
一説によると「スロウ」が
魔法と呼ばれているときがあったので、
それではないかという説をどこかでみました。


で、僕はどう考えるか。
あんまりよく考えてなかったんですけれど、
「それ」のさす意味は

「誰も分かってくれないかもしれないもので」
「自分だけが知ってればいいもの」

だと思うんです。
タナカさんの発する言葉から
各々に委ねられた解釈を
各々のまま持っていればいいのではないかなーって思いました。


都合のいい解釈ですが^^;

 

 

GRAVEYARD

お気に入りLv9

 

お墓。

ぱっとこの題名を見た感じで
GRAPEVINEという自分たちのバンド名を
喚起させる事を狙ってる気がします。

突っ走らない安定した演奏ながら、
ズドンとやられる。
ライブ映えする作品。

これだけシンプルな
音の集合をここまで
重奏にできるのはさすがの一言。

聴き所は最後のサビのハモリです。


自虐的な言い回しと
突き放すような言葉達を操り
タナカ像は
墓所への道を進んでいく。

 


スカイライン

お気に入りLv7


題名ダブルミーニング 車と空

さらっと演奏しているけれども、
実はとっても難しいということを
メンバーが言ってました。

意欲作。
女性のコーラスが入ることを意識して作られた
程良く軽快なメロディラインと

淡々とリズムを刻む大人な演奏がキマっていて、
珍しく、オチ無しのエンディングを迎えます。

短い曲ながら
とても印象に残る曲です。


狙わなくても
もう、それだけでいい
ということでしょうかね?

 

まとめ

 

バインをもともと好きだった人にとって
この作品はバインの魅力を再確認できる作品だと思います。

しかし、新しくファンになる人は…
いるのか!?

地味で一蹴されてしまいそうですが、
3度聴けば魅力の虜になること間違いナシのアルバムです。

借りた人は
我慢して3回聴いてくださいね♪

 


そういえば

でっかいこころで
らいねんぐらいは
しみじみと
ねむりにつこ…

の来年がやってきましたね。

 

考察

ここら辺のアルバムからは時折ipodから流れても「違和感」を感じなくなりました。といっても10年以上前の作品なんですよね。時が経つのは本当に早いな。

 

そして、このアルバムツアーから私はGRAPEVINEのライブに行き始めたので、思い入れもあるのかもしれません。

 

ちなみにYahoo!プレミアムの記事のアイキャッチに使用している単語「REW」はGRAPEVINEの曲から来てるなんてネタは、誰も気づいてはいないんだろうなと思います(笑)「繰り返し」と言う意味らしいですね。

www.tonymctony.com

 

GRAVEYARDは最近のツアーでやってましたけど、かっこよかったです。私の中のGRAPEVINEってメロウな曲のイメージではなくて、こういった「王道」のイメージなんです。

 

よくGRAPEVINEは、捻くれたとか、文学的なとか、という「王道」でない形容詞で語られることが多いのですが、そんなことはないと思うんですよ(もちろん、そういう曲もありますけど)。それが本当に不思議なんです。