レビュー日:2006.9.5(火)
The Bends
「Creep」の大成功でその名を知られたレディオヘッドのセカンドアルバム。バンドサウンドが全面に打ち出された、名曲揃い。
ファーストアルバムの時点ではシングルヒット曲を1つ持つUK若手バンドのひとつにすぎなかったが、このアルバムによってUK若手バンドの群れの中から頭一つ抜け出した。
この後、コンピューターミュージックやディスコードなどを用いた実験的音楽に移行していくレディオヘッド。サードアルバム「OKコンピューター」での大成功により、その名を広く知られていく。
ゆえに、このアルバムの曲たちは一般的に認知されるレディオヘッドサウンドとは異色なものになるのではないだろうか。
しかし、突然変異でできたサウンドではなく、彼らが歩んできた軌跡であることには変わりない。
このアルバムをじっくりと聴けば、レディオヘッドが他のバンドと一線を画す手段として、バンドサウンドから逃げたわけでないことがうかがい知れる。
そう、彼らはバンドサウンドで、これほどまでに素晴らしいアルバムをつくりあげてしまったのだ。一つの到達点に達したと言ってもいい。
このままバンドサウンドで力作を作り続けることも可能であっただろう。しかし、彼らはそれをしなかった。自分の表現したいものを表現できる音楽を追究し続け、次の「OKコンピューター」を完成させたのだ。
なんかだアルバムの紹介じゃなく、OKコンピューターへの序章みたいな書き方になってしまいました。このアルバムも好きなんですけど、OKコンピューターの方が好きなんだろうなぁ。
好きな曲
このアルバムは良曲揃いで、好きな曲を選ぶのも困るのですが、2曲ほど挙げたいと思います。
High and Dry
一番好きな曲は「High and Dry」でしょうか。ベタに。Jamie Cullumがカバーしたの聴いてから、じっくり聴くようになりました。
来日公演でカバー演奏してくれました。
イントロのオクターブのギターから心地よさがある曲。全体通して使われるアコギの音とトム・ヨークの力の抜いた歌い方が調和しています。メロでの微妙にベースが拙い感じがするのもいいなぁ。
Fake Plastic Tree
そして、それに続くFake Plastic Treeもいい。同じ色合いの曲なんだけれども、トムの歌い方がすごくいいんですよ。ファルセットの響きが強烈に体を揺らす。キーボードの音は少し古くさい感じがするんだけど、前半はメロディとアコギが絡んでいて雰囲気を作るし、後半はエレキギターの音色でぶっ飛ばしてくれます。
この2曲をセットで聴くのが好き。
よく、レディオヘッドを聴くようになると心が病んでいると言われるらしいのですが、歌詞の部分をほとんど抜きにして、メロディの良さを体で感じてるようなものなので、そんなわけはないと思うのですが。(曲自体の吸引力・オーラっていうのはあるけどね。)
曲がよければ聴く、曲があわなければ聴かない。そんなものです。いい曲に乗ってるから歌詞が素敵にきこえるわけだし。
考察
レディオヘッドも全然聴かなくなりましたね。なんだかそんなことばかり言っているきがしますが、もうすぐ音楽レビューもネタが切れるのでもう暫くお付き合いいただけると幸いです。
High and DryはJamie Cullumのカバーが良すぎて、そっちの方をよく聴いていました。本編では触れていませんが、Killer Carsも好きだったな。最後の部分が蛇足的な気がして聴かなくなったけど(そればっかり)。